主催者からのメッセージ

今回この大隅多元塾を立ち上げるにあたり、その背景について少し説明しておきたいと思います。

 

この多元塾、実は、私がマイクロソフト社を辞めてすぐのころ、当時住んでいた東京・高円寺のマンションの一室を開放して都内の大学生相手に始めたのが最初でした。集まってきたのは東大、早稲田、慶応、上智といった大学の学生10名ほど。幕末の私塾にあこがれ、今また激動期にある日本の将来を考えるうえで教育が大事だと思う自分にとって、それはまたとない実験の場となったのでした。

 

あれから10年以上が経ち、都会から田舎に戻ってきたわけですが、何らかの形で教育(広義の意味における教育)にかかわりたいという思いは消えていません。それどころか、いつかこの田舎に国際的な教育のできる施設、空間をつくりたいという気持ちは強くなっています。余計な誘惑がない、この田舎でこそ、そうした教育は可能なのではないかと思いますし、またそれによって田舎が活性化することを願っているわけです。

 

その一つのモデルとなるのが、アメリカ・カリフォルニア州にある通称「カウボーイ大学」と呼ばれるディープ・スプリングス・カレッジです。そこでは少数精鋭の教育が行われ、通常の学問と同時並行して牛の世話をしたり、農場で働いたりという知性と肉体という両方の分野から若者を鍛えるという、いってみれば理想的な教育が行われています。

 

また内容的には、昔の旧制高校が「デカンショ(デカルト、カント、ショウペンハウエル)」を学んだように、歴史や哲学をはじめとした生きることについて学ぶということが基本姿勢となっています。「人としていかに生きるか」ということが中心テーマであり、うすっぺらいハウツーものではない教育が行われているということです。

 

もちろん、その「カウボーイ大学」のレベルは高すぎて真似をしようにも話にならないでしょう。しかし、その理念や方法論は参考にできると思います。ですから、少なくとも理想としては、そのような心身のバランスの大切さをきちんと理解し、しかもグローバルな思考のできる人材を育成する場が、何らかの形でこの田舎にできることを祈っているわけです。

 

さらに付け加えれば、こうした学びの場は地方の活性化にとって不可欠だとの思いもあります。インターネットの時代となり、今や田舎にいようとも世界中の情報にアクセスができ、また世界に向けて情報が発信できるようになりました。であれば、それを地方の活性化に活かさない手はありません。

 

しかしながら、そのようなグローバルな視点で地方の活性化を考えられる人材は地方には乏しく、また語学力も含め、グローバルな対応ができる人材は決定的に不足しています。

 

幸い、私は田舎育ちながら、長年海外でさまざまな学びと経験をさせてもらいました。この大隅多元塾は、いわば私にとっての「恩返しの場」でもあります。自分がこれまで学んできたこと、経験したことを地域の人、特に若者に伝える場、それがこの大隅多元塾なのです。

 

この試みが将来どこにつながり、どのような成果を生むのか――現段階ではそれはわかりません。ただ、希望としては、一人でも多くの方が参加し、学びの楽しさを味わいながら、その人たちの世界に対する目が広がっていくことを祈ってやみません。

主催者について

有留修 [ありどめおさむ] 肝付町(旧高山町)生まれ。鹿屋高校から上智大学に進み、在学中2年間のアメリカ留学を経て、マスコミ業界に入り、時事通信社やTBS(東京放送)などで報道記者を務める。90年代半ばには再びアメリカに渡り、ジョンズホプキンス大学院で国際公共政策修士号を取得。帰国後、インターネット業界に転じ、マイクロソフト社ではニュース番組の立ち上げを指揮する。2000年、中国・上海に渡り、日本向けにビジネス情報を含む中国関連情報をインターネットを通じて発信する(途中、1年間イギリス・ロンドンでも活動)。2007年、ほぼ7年ぶりに日本に復帰、大隅を拠点に海外を含む外部世界と地域を結んだ地域活性化に取り組む。2010年、地域活性化に関するシンクタンクとして日本地域再生研究所を設立し、所長に就任。さらに、2012年春にはNPO法人きもつき情報化推進センターの事務局長に就任し、同法人が企画・運営する地域メディア「きもつき情報局」の編集長を務める。2014年3月には海外向けの英語版ウェブサイト「キモツキ・コネクション(KIMOTSUKI CONNECTION)」を立ち上げる。2014年8月、同センターを退職の後、2015年4月、カンボジアの子どもたちを支援する鹿児島人の会(KHCC)を設立、その代表に就任する。コロナの影響もあり、現在は地域活性化に関する活動をひとまず休止し、ARIDOMEDIAとして翻訳・執筆活動を続けている。

お知らせ

当面の間、当塾の活動は休止とさせていただきます。(2015年5月現在)

 

第6回の勉強会が10月12日(土)午後2時から5時過ぎまで開かれ、各参加者からのプレゼンテーションおよび活発な意見交換が行われました。

 

第5回勉強会が2013年7月31日、新メンバーを迎えて開催されました。

 

2013年の初めての勉強会(第4回)が2月中下旬に行われました。

 

第3回の勉強会が12月27日(木)で午後6時半から開かれました。

 

受講料と時間を変更しました。詳しくはこちらを御覧ください。(2012年5月26日)

 

第2回の勉強会が3月7日(水)の午後7時からフルールで開催されました。


第1回の勉強会が12月7日に開催されました。そのレポートを塾長のブログに掲載しましたので、よろしければこちらからご覧ください。

 

当塾に関する説明会を行いました。(2011年9月29日)

鹿児島自由大学

鹿児島市内にお住まいの方にお知らせです。市内には「鹿児島自由大学」という学びの場があります。ほぼ月一回のペースでさまざまな講座が用意されているようですので、興味のある方はぜひこちらのページをご覧ください。あなたにふさわしい講座が見つかるかもしれませんよ。